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又信会員A la Carte

自然豊かなイギリスの田舎散策旅行
舩越寛三さん


シェイクスピア、ワーズワース、エミリー・ブロンテ・・・山間、丘の至るところにある牧場、 牧草、石を積んだ壁、それらの中を歩いて通れる「フットパス」(歩行者専用の遊歩道)を求めて昨年九月イギリスの田舎を散策する旅をした。

永年、ワイフにお世話になったので、彼女の行きたいところに行くことにしたのである。私は今まで自分の行った欧州各地を見せたくて自分で計画を立てて「どうだ!よいだろう!」とばかりに自己満足に陥っていたのではと思って。妻は結婚前から刺繍に凝っていた。しかし、結婚後、亭主の転勤で十八回も家を移り住み三人の子育てに明け暮れた。1985年浦和の自宅に帰り、懸案の刺繍を再開した。昔習った神戸の戸塚刺繍の先生に南浦和の良い先生を紹介してもらったのだ。刺繍のことはまったくわからないが、ロンドンに出張するときには、本屋で「刺繍の本」とか「イギリスの花の庭の本」とかを頼まれた記憶はある。

彼女の趣味に合わせ、わたしもあまり知らない英国の田舎をバスツアーで急遽行くことにした。ロンドン郊外のガトウイックに一泊。イングランド中央部のローマ軍の影響を未だに残しているバースを散策。お風呂をバスというのも此処からきている。紀元前一世紀にできたローマ人による大浴場や、ローマ風建物クレセント他、ローマが詰まった温泉地だ。

イングランド中央部のコッツウオルズ地方カッスルクームで待望のイングリッシュガーデン、シェイクスピア時代を彷彿とさせる田舎の小路、羊毛の市場の跡、お墓、教会、ライムストーンで出来た家々の窓辺に咲き誇る花々。さすがにバラはシーズンオフで少なかったが、ペチニア他鉢植えの花々が満開。コッツウオルズの中心部ストラトフォードアポンエイボンで一泊。シエイクスピアの生家、アン・ハサウエイー(シェイクスピアの妻)の藁葺きの家、バンクロフトガーデン、みんなワイフの刺繍のテーマとなった景色だ。「こんにちは!十六世紀の村々」。

イングランド北部のハワースではエミリー・ブロンテの小説「嵐が丘」のモデルとなった丘を登った。小説で大家が住んだ「嵐が丘」を彷彿とさせる荒れた丘上の敷地を守る一メートルほどの高さに石を積み上げた塀に沿ったフットパスをたどる。丘の上には薄ピンク色の野草ヒース(エリカ)の花が咲き誇っていた。行き着いた先にブロンテ姉妹が眠るパリッシュ教会があった。教会の下の坂道に沿って小さな集落があり、喫茶店にてイングリッシュティーでスコーンを食べて休息。英国では高い山がなく、北のスコットランドに標高1,300m、南のイングランドには1,000mを越える山はない。3メートルも掘れば岩盤にあたるところがほとんどである。その為、牧草と牧場が多く、畑も根菜はあまり作らない。

翌日、北部イングランドの湖水地方を散策。ウインダミア湖周遊遊覧、湖水地方の美しい自然に影響を受けたロマン派詩人ワーズワースが多くの作品を作ったダブ・コテージと博物館見学。この地方はナショナルトラスト運動(注)で大切に守られた美しい自然が一杯だ。ピーターラビットで有名な作家ビアトリス・ポターがニア・ソーリー村のヒル・トップ一帯を購入し、ナシヨナルトラスト(文化保護協会)のもと美しい自然の森と田園地帯が保存されているのである。ピーターラビットの印税で大切な自然が守られているのである。イギリス全土にあるフットパス。畑や牧場の中の散策路、運河沿いの小径、ハイキング用トレイル、時には他人の土地を横切ることもありうる・・・誰もが自然を共有し通行する権利があるという考えがある。我々はその一部だが、美しいイギリスの自然を堪能した。

ワイフは実際に刺繍の原風景をみて、写真や絵であこがれてはいたが、想像以上に自然と一体となった家、路、木々、花々、小川、教会、諸々に感動。これからの彼女の作品が楽しみだ。

注・「ナショナルトラスト」という。
1895年に発足した民間非営利団体。イギリス国内の歴史的建造物や美しい庭園、国立公園などを守っていこうと活動している文化保護協会。現在、歴史的建造物、イギリス庭園が215、自然保護区が31、ほか鉄道など49の産業遺構がナショナルトラストの管理のもと保存、運営されている。会員数は海外会員を含めて340万人を越える

 
 
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